2024/03/15
コラム
NEW・ENGETSU XTUNEで明石&日本海マダイを攻略
鯛ラバゲームは、フィールドが異なれば、ベストなロッドも変わってくる。また、1日の間でも状況の変化によってロッドを使い分けることで、より釣果に近づくことができる。そこで2024年、リニューアルされて登場したのがENGETSU XTUNE(エンゲツエクスチューン)。3種類の乗せ調子に加えドテラ調子、キャスティングの全5タイプ、17モデルがラインナップ。全国のタイラバフィールドで活躍するクッション性と粘り強さを併せ持ったシリーズだ。そんなロッドを携え、赤澤康弘さんが2023年秋に明石、そして兵庫県の日本海側へ釣行。
INDEX
日本全国の様々なフィールドにアジャストするラインナップ
新しいXTUNEは全国の鯛ラバフィールドで活躍
まず明石の釣行。実釣は10月中旬。取材釣行前に水温が急に下がったことで、「マダイは口をなかなか使ってくれない厳しい状況」という情報が釣行前に入っていた。
「今回の新しいENGETSU XTUNEですが、日本全国に点在する鯛ラバフィールドで活躍するようにラインナップを揃えたのが特徴です。鯛ラバは、水深や潮の変化、マダイの活性などに合わせて対応しなくてはなりません。タイプごとに専用設計を施し、シマノの鯛ラバロッドテクノロジーを惜しみなく採用したことで、どのモデルも軽くて強く、そしてなにより使いやすいロッドとなっています。これらのラインナップから各地の鯛ラバファンにぴったりのモデルが見つかると思います。では、実釣しながら、各モデルを解説していきたいと思います」
赤澤さんのお気に入り、最新モデル・乗せ調子フルチューブラーモデル
明石沖では水深は55mから下がっていくポイントからスタートした。赤澤さんは今回のモデルの中で最もお気に入りだというN-B69ML-Tモデルを最初に手にした。そこにタングステンの炎月 バクバクTG90gのヘッド、ゲキアツカーリーを半分にカットしたものを装着した。
「明石は、瀬戸内海の潮流が速いエリアです。そのため根掛かりしやすいエリアでもある。そこでまず、このロッドを選びました。新しいモデルで、僕のお気に入りのフルチューブラーのロッドです。このモデルは『乗せ調子』でありながら、穂先からロッドエンドまで中空のチューブラーで構成されています。フルチューブラーならではの軽く感度が良いのが最大の特徴です。感度が良いことで、海の中の様子をいち早く把握できます。例えば、マダイがベイトを捕食することが多いタナとなる水中の潮目、そしてリトリーブ中やフォール中のマダイの追尾。激戦区の明石では、そのような情報をいち早く把握して、マダイをヒットさせるためのヒントを得ることが重要になる場面が多い。さらにティップに絶妙な張りがあることで、鯛ラバの着底時にはティップが『スパッ』とシャープに戻ります。その動きが、手にしっかりと伝わってきます。もちろん目感度もいい。これにより根の荒いポイント、さらに潮の速いポイントでの根掛かり防止とともに、よりシビアな状況で、鯛ラバゲームにおいて大切な着底後の素早いリトリーブにも対応します」
フルチューブラーロッドがシマノの技術で進化!
鯛ラバロッドにおいて、「チューブラー=バイトを弾く」「チューブラーは乗せにくい」といったイメージがある。そのため、喰い込みを考えて最近の鯛ラバロッドは、ソリッドティップを採用するのが一般的になっている。しかし今回の乗せ調子のフルチューブラーロッドN-B69ML-Tモデルは、シマノのロッドテクノロジーの進化により、チューブラーでも喰い込みのよい、マダイに違和感を与えないティップを実現していると赤澤さんは解説する。
「チューブラーのティップは素早く着底を把握するとともに、最近僕はドラグを少し強めに設定し、バイトが出始めてもしばらく巻き続け、そして『スパッ』とアワセを入れる釣り方を好んで行っています。より掛けた感が得られ、気持ちいいからです。そしてしっかり掛けることでバラしが少ない釣法です。そんな釣りにも、このチューブラーモデルはぴったりなのです。エキスパートが楽しめるロッドになっていると思います」
浮いた反応に対して、より効率よく探るためのリール&探見丸
実釣日の朝、船長から「この時期は浮いた反応が出る」と聞かされていた。「浮いた反応はジャコ(小型のイワシ)を捕食しに来たマダイ」という。そこでそんな反応が出た時、その水深に素早くタナを合わせることで釣果に繋がる。そんな反応にアジャストできるように、赤澤さんがセレクトしたリールは、新しくなったENGETSU PREMIUMだ。
「玄界灘ではこのような反応を見てタナを変えていく、『シューティング』と呼ばれる鯛ラバゲームがあるのですが、明石沖でもシーズンによりそのようなシチュエーションがあります。カウンター付きのリールで、水深の表示、巻きの早さがひと目で分かるリールなのですが、着底から5mごと、10mごと、15mごと、20mごと、25mごとにアラームが鳴る巻上距離アラームという機能も装備しています。浮いている反応の水深付近に、そのアラームをセットしておくことで、音でも鯛ラバの到達点が分かり、ボトム付近、そして中層付近と効率よく探ることができます」
また、その浮いている反応をいち早く把握できるアイテムが探見丸だ。浮いている反応に対して船長がアナウンスしてくれる時もあるが、すぐ脇に探見丸があれば常に把握することができる。釣果をより増やすためには、ぜひ用意しておきたい。
波の上下、速い潮に対応しやすいフルソリッドのロングモデル
この日、しばらくして船長は明石大橋の東側の深場に船を入れた。水深は90mほど。このポイントは、時間によっては潮が速く流れる場所。ただ、そんな潮の動き出しのタイミングでマダイが喰ってくる。このポイント移動で、赤澤さんが手にしたのは、N-B70M+-FSだった。
「今日は波っけがあり、さらにこのポイントはボトムの起伏がある。タンカーの往来も多い。そのため船の上下動が起こりやすい。また次第に潮が速く流れてくる。N-B70M+-FSは、長さがあることで波による船の上下に、その有効な曲がり幅で吸収してくれます。また両舷で釣りをする場合、どちらかの舷は船底に入っていくようなライン角度になります。その時、短いロッドだとロッドが曲がることで、ブランクスの細かいアタリを取るティップ部分が死んでしまうことがありますが、70の長さのロングロッドであれば、しっかり対応します。またバイトしてから船底に入るような引きを見せたときも、この長さで対応できます。さらにフルソリッドなので、自然にフッキングまで持ち込む性能を備えています」
そしてしばらく探ると、ついに良さそうなアタリを捉えた。そしてしっかりフッキングまで持ち込んだ。フルソリッドらしく、ロッド全体が綺麗に曲がるやりとり。ロッド全体が曲がることで、船の上下がある状況でもバラしが少ない。「ちょっと小ぶりですが‥‥」と言いつつも、厳しい状況の中で釣果に繋げた。
「小さいマダイほどバレやすいのですが、フルソリッドのロングロッドが追従してくれて、心配なく取り込むことができたと思います」
よりしなやかになったフルソリッドモデル
フルソリッドモデルには、使用したN-B70M+-FS以外に、N-B510ML-FS、N-B66ML-FS、N-B66M-FSというモデルもあり、それぞれに使い勝手の良い状況があると解説。
「フルソリッドはフルチューブラー、ソリッドティップと比べると、若干重くはなるのですが、マダイを掛ける、いなす、取り込みまでバラさないということに対して非常に優れているタイプだと思います。今回のXTUNEのフルソリッドは、前回と比べるとしなやかになった印象です。N-B510ML-FS、N-B66ML-FSは、バーチカルに鯛ラバを落とし、水深の浅いエリアにも最適だと思います。N-B66M-FSと、今手にしているN-B70M+-FSは、潮流の速いエリアで使いやすい。なかでもN-B66M-FSは、様々なエリアで使用しやすいでしょう」
リトリーブ時にいかに軽さを感じるかを追求した設計
その後、船が浅場、50mのポイントに入ったことで、再びフルチューブラーのN-B69ML-Tに持ち替えた。ちなみに今回のソリッドティップモデルは、N-B610ML-SとN-B610M-Sの2モデルと、フルチューブラ―のN-B69ML-Tは、真の軽さを追求した設計が施されているという。ここで再びティップが叩かれた。敏感なチューブラーティップが、しっかりアタリを捉えたのだ。そしてフッキング。上がってきたのは、綺麗なマダイであった。
「フルチューブラーのこのモデルは、パワーと柔軟性を併せ持っているロッドだと思います。大型のマダイが来ても、十分対応します。僕の最近、好んでいやっている、しっかり合わせを入れてフッキングさせる『乗せ掛け釣法』に最適なロッドです」
その後、浮いている個体に素早くタナを合わせ、もう1尾追加。探見丸を駆使した、シューティングの攻めで狙い通りの1尾をキャッチした。
バランスが良く、幅広い人が満足できるソリッドティップ
この日、赤澤さんはあまり使用しなかったが、ソリッドティップモデルについても解説いただいた。
「今回のXTUNEの乗せ調子のソリッドティップモデルは、N-B610ML-SとN-B610M-Sの2モデルがラインナップされています。この2つは、シリーズの中で最も使いやすいスタンダードモデルといえるでしょう。繊細で細身のソリッドティップがマダイの喰い込みに素早く対応し、低活性時のマダイでも乗せられ、適度に張りのある胴を使って追いアワセを入れることで、しっかりとフッキングに持ち込むことが可能です。またバットパワーがあるので、大型マダイのヒットにおいても余裕を持って対応します。今回のソリッドティップモデルは、前作よりも若干シャープになっています。このシャープというのは硬く強いという感じではなく、粘り強くなった感じ。使ってみれば、それを実感できると思います」
簡単にそれぞれのモデルを解説すると、フルチューブラーモデルは軽く、そして超敏感なテクニカルに鯛ラバを楽しめるモデル。一方、フルソリッドモデルはロッド全体が柔軟に対応し、オートマチックにマダイを掛けられるモデル。その中間的な存在なのが、ソリッドティップモデルだ。ティップは繊細で、適度なベリーの張りでマダイのアタリを手元に感じつつフッキングに持ち込むことができるモデル。全てがオートマチックに楽しむのではなく、自身のテクニックも加えて楽しめるモデルと赤澤さんは解説してくれた。
キャスティングモデルは、よりしなやかに設計!
実釣日の明石では、50mよりも深い場所にマダイの反応が出ていた。しかし、浅場のポイントにも終盤に入ってみた。ここで活躍するのが、スピニング仕様のキャスティングモデルである。そしてポイントに入ると同時に、赤澤さんは鯛ラバをキャストして、広範囲を探っていく。
「鯛ラバをキャストして、広いエリアを攻める、手付かずのエリアを攻められるキャスティングモデルとしてラインナップされたのがC-S66ML+-S。乗合船から投げやすい6フィート6インチの長さです。前回のキャスティングモデルはMモデルでしたが、今回はML+のパワーを採用しています。このパワー設定により、キャストフィールを保ちながらよりしなやかになっています。細身でしなやかなソリッドティップで喰い込みがよく、ティップからベリーもしなやか。これにより今まで乗らなかったマダイもナチュラルに乗せられます。さらにバットは柔らかすぎずしっかりしており、マダイの口にしっかりフッキングすることが可能でありながら、ファイト中のマダイの突っ込みにも追従する性能を備えています。この性能により、浅場だけでなく、バーチカルスピニングにも対応してくれます。20~90gの鯛ラバを使用可能です」
浅場のポイントでは、ワッペンサイズのマダイが鯛ラバに次々とじゃれてきた。そしてヒット。そんなアタリも逃さない性能をC-S66ML+-Sは見せてくれた。
ディープドテラ対応&モンスターハントのドテラ仕様
明石での釣行の約1ヶ月後、赤澤さんは兵庫県の日本海側で出船していた。鹿児島の錦江湾から玄界灘、山陰地方、福井、丹後、新潟、秋田といったフィールドでは、ドテラ流しで攻めるとともに、ディープドテラという鯛ラバゲームがある。通常のドテラであれば、使用する鯛ラバが120g、150gとなるが、ディープドテラになると200g、250gといったヘッドを使用する。そんな鯛ラバに対応するのが、今回のXTUNEで新しくラインナップに加わったドテラモデル、D-B611M+-Tだ。
「今回のモデルは、そのどちらのドテラゲームもカバーするモデルとしてチューブラーティップのブランクスを採用し誕生させたモデルです。ドテラ鯛ラバ、ディープ鯛ラバで求められるロッドは、マダイの喰い込み時のティップのしなやかさ、そして鯛ラバの重さ、払い出したラインの負荷、そしてマダイがヒットした時の負荷がロッドに掛かってきたときに、しっかりと対応する性能が必要です。それらを備えたのが、今回のD-B611M+-Tです」
ドテラ鯛ラバ、特にディープを攻める時は、柔軟なフルソリッドのようなロッドだと極端に曲がり切ってしまう。そのためマダイを寄せるためにロッドとラインを一直線にし、ドラグを強めて寄せてこなくてはならない。だがそれではバラしの確率が増し、ときとしてラインブレイクということも起こる。そこでD-B611M+-Tは、高負荷時にしっかりとロッドが受け止め、ヒットしたマダイもロッドを曲げてしっかりと寄せられる強さを備えつつ、喰い込みよく弾かないしなやかなティップ、ファイト中のマダイの動きを吸収するクッション性も備えたモデルとして性能を突き詰め完成させたモデルだという。
大型マダイが連発!ドテラモデルが性能を発揮
日本海の釣行時、赤澤さんはドテラモデルのロッドに、炎月ドテラバクバク120gのヘッド、ストロングカーリー&イカタコカーリーを装着してスタート。
「ドテラモデルは一言で表すなら『しなやかで粘り強い』ロッドです。またフルチューブラーになっていることで、軽く、鯛ラバが遠く離れた状況での感度も良い。着底やフォール中の潮目の把握、ショートバイト、マダイが寄ってきた前アタリなども感じることができます。ドテラ鯛ラバの釣りに、必要な機能を詰め込んだロッドです」
船は風に流され、ポイントを通過していく。若干、そのスピードが速いことから、赤澤さんはスロー気味にリーリング。するとまずはアオハタがヒット。次のヒットもアオハタ。そこで、ボトム付近だけアオハタのヒットを避けるために速く巻き、その後は少し速度を緩めるリーリングに変更した。そして、マダイのヒットに繋げた。しなやかでありながら粘り強いブランクスが、マダイの引きを受け止める。上がってきたのは、81cmの良型であった。そして更に良型をその後も追加。しっかりとアタリを捉え、さらにヒット後は粘り強くマダイの引きを吸収しながらも、しなやかに曲がってバラしを軽減する、ドテラモデルD-B611M+-Tの実力を実証した。
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