【24シマノ新製品鮎竿】リミテッドプロFWベリーベスト 小澤剛 × 最高峰のFW 無双の長良川水系 攻略術
歴代最高バランスを実現させた「ベリーベスト」
ゼロ周辺のテンション感知能力に優れ、緻密なオトリ操作を可能にするシャープな本調子。シマノ鮎竿を代表するフラッグシップモデルだ。シャープな張り感を保ちながらもスムーズな曲がりで優れたタメ性能も兼備する。4代目にして歴代最高のベストバランスに仕上げた「ベリーベスト」な90、85、80がラインナップ。
ゼロ周辺のテンション感知能力に優れ、緻密なオトリ操作を可能にするシャープな本調子。シマノ鮎竿を代表するフラッグシップモデルだ。シャープな張り感を保ちながらもスムーズな曲がりで優れたタメ性能も兼備する。4代目にして歴代最高のベストバランスに仕上げた「ベリーベスト」な90、85、80がラインナップ。
【24シマノ新製品鮎竿】リミテッドプロFWベリーベスト 小澤剛 × 最高峰のFW 無双の長良川水系 攻略術
原点回帰のシャープネスに突っ張らない曲がりを追求
オトリの重みが手元に「クッ」と乗る瞬間のテンション。糸を張らず緩めない「ゼロオバセの状態を把握するのはオトリ操作の第一歩」と小澤剛は言い続けてきた。そしてVeryBESTの原点とは、使い手を選ばず「ゼロ」を意識させ、高精度なテンション調整を可能にすること。そのためには絶対的な感度が必要になるわけだが、竿の軽さと感度はリンクする。高度なゼロ感知能力はシマノ最高峰の軽量ロッド「リミテッドプロFW(Feather Weight)」シリーズだからこそ表現できる。この軽さと感度に加え、最大限のパワー伝達性も追求しているのがVeryBESTだ。均整の取れたパフォーマンスは今やシマノを代表する鮎竿と言っても過言ではない。
ゼロを意識させる感度を主軸に設計してきたVeryBESTの進化を硬さランクのH表示で振り返ると、初代はシャープながら万能感のあるH2.75相当、2代目はシーズン初期から後期まで幅広く対応できるしなやかさも兼備したH2.6相当、3代目は引きやすさを意識したマイルドな調子のS(H2.5)と良型対応のP(H2.75)の2タイプがあった。そして4代目となる今作は原点回帰したモデルとなる。90と85はH2.75、新機種の80がH2.6となり、いずれも1~3番の張りを高め「ゼロ」を感知しやすいシャープ感に磨きをかけている。
もうひとつコンセプトにしたのは突っ張り感のない「スムーズな曲がり」である。多くの竿は負荷をかけて曲げ込むと各節の節目でカチッと曲がりが止まってしまう「角」のようなものがある。これを我々は「ロック感」と呼んでおり、肉が薄く軽量高反発なVeryBESTのような竿は、ロック感を抱いた時点で曲げることが怖くなる。つまり竿をしっかりと絞りきれない。結果的に魚を浮かせるのが遅れ、身切れなどのトラブルが発生してオトリ循環が滞ることにもつながる。このロック感を払拭すべく、竿の曲がりを形成する精度の高いパワー伝達(エネルギー)解析を行ない、極めて滑らかな曲線を描くように仕上げていった。その効果として小澤は「歴代モデルの中でタメ性能は一番の安心感がある」と太鼓判を捺した。
精度を高める3機種 禁断の80も登場
90は前作と比較すればシャープな張り感はあるものの「じゃじゃ馬感」のない調子を目指している。ゼロ周辺のテンションを感じ取り、さらに強めの引き操作でオトリを操っても浮きにくい。
85は現代友釣りシーンにおいて90とともにダブルスタンダードになった全長といえる。竿は短くなるほど曲げたときの突っ張り感が増幅されるが、今作は7本継にすることでコンセプトの「スムーズな曲がり」をより強調している。
新たに加わった80は170g台の禁断の軽さが持ち味だ。8mが活躍するのは支流・渓流域の小場所だけではない。近年のトーナメントシーンで大河川のピンスポットを緻密に攻略する短竿のメリットが注目を集めている。小澤も長良川郡上や九頭竜川で80を手に釣りまくっている。
いずれのモデルも快適に釣れるアベレージサイズは20cmクラスながら、流れの規模によっては23cmクラスも攻略可能だ。オトリの打ち込み、テンション調整、そして引き抜きに至るまでの一連の所作が驚くほど軽快かつ高精度にこなせる。友釣り技術を向上させるベストな相棒になることを約束する。
小澤剛が贈る技術向上のアドバイスの中には再三「イトの張り加減」という言葉が出てくる。
川を読む目、取り込みの良し悪し、手返しも釣果に直結はするものの、
オトリを操るテンションの調整にこそ「技術の差」が最も生じる部分と説く。
緻密なテンション調整を誰もが行なえる竿を作る。それが小澤の目指すVeryBESTである。
オトリ操作のきっかけになる そんな竿を作りたい
「近年になって僕のホームの中部の河川に若い友釣りファンが増えてきた実感があります。今回のVeryBESTはうまくなりたいと熱くなる若者はもちろん、やり込んでいるベテランの方々にもあらためてオトリ操作の基本がわかるような竿にしたいという思いがあったんです。オトリを操作するのは、すなわちイトの張り加減、テンションを調整することです。オトリの重さを感じる瞬間を“ゼロ”としてイトの張り加減が明確になる竿でなければ操作の感触は曖昧になります。例えばオトリを引き上げる力に10段階のレベルがあって、3の力で引っ張ったときに目印がどんな振れ方をするのか。こうしたテンションの微調整がオトリの動きや釣果にどう影響するのかを確かめながら釣って欲しい。この竿はオトリを馴染ませやすいだけの柔軟竿ではありません。強く引きすぎればオトリは浮くし弱ります。川底にオトリをしっかり落ち着かせるにはテンションの調整が必要です。このイトの張り加減を高い精度で感知して操作できる。それが竿作りの根底にあります」
そう話す小澤剛は今作の開発段階で初代モデルを念頭においた。元々「ゼロ周辺」を感じやすい「シャープな本調子」がこの竿の持ち味だが、オトリの重さを感じる部分を尖らせすぎればマニュアル感の強いロッドになりすぎる。このため2代目、3代目は基本となるゼロ感度がボケないようにしつつ、丸みのある扱いやすい調子に仕上げていった。とくに2020年発売の前作は「引きやすさ」を強調してしなやかな方向にベクトルを向けた。当時は5月解禁の川が急増したことで初期の小型オトリを繊細に扱えるしなやかな竿のニーズが増えた。これに対応する「S90」という歴代で最もしなやかな竿が生まれた。また遡盛期以降の大型化した鮎に対応できる「P90」もラインナップされたのが前作までの流れである。
「VeryBESTは先調子でも胴調子でもありません。本調子といわれる調子です。ゼロ周辺が感じやすくテンションを細やかに調整しやすいように、今作は穂持ちから3番の張りをアップさせています。といってもオトリを馴染ませにくいパンパンな張り感ではありません。H2.75のど真ん中のシャキッとした感じはなく、細かく言えばH2.75の下限の軟らかさという感じで穂先も硬すぎない。前アタリや追われたときのトンとかビンという短い衝撃音が大きく鳴るエキサイトトップⅡも感度には貢献していますね」
22、23年度の競技会で小澤は「引き」よりも「待ち」を重視したオトリ操作が必然的に多くなったという。スピード感のある引き上げ操作では、飛び付いてくる喧嘩っ早い野アユが少なく、引き釣りの爆発力を実感できる状況が乏しかったのが主な理由である。もちろん操作の中に強くて速い引きも織り交ぜはする。が、縄張りを直撃してオトリを留めていないと釣果が安定的に伸びないシビアな河川が多かったのだといえる。
「待ちの釣りをするには確信をもって野アユのシグナルを捉える竿のサーチ能力が不可欠です。そのうえでスポットにオトリを留めて挑発的な泳ぎを引き出すテンションコントロールも生きます。元気な鮎が少ない河川を釣りこなすためにも、シャープな感度が活躍してくれるはずです」
シャープな張り感に滑らかな曲がり 近距離戦をアシストする全長ラインナップ
「今回のモデルが初代と明らかに違うのは、安心して絞り込める滑らかな曲がりを追求していることです。竿が持っていかれるようなパワー不足を解消して、これ以上曲げたらマズいと思うところでも粘ってくれる場面が多い。安心感はかなりあります。鮎のサイズでいえば90と85はメインが20cmクラス。14~24cmまでは釣りこなせます。80は21cmくらいまでが適性かと思います」
このスムーズな曲がりを形成するのは長年の設計手法を深化させ、前作から採用されたスパイラルXコアの恩恵もある。
「感度を求めると、どうしても硬くなりがちな調子を滑らかにチューニングしていくことで、持った感じはシャキッとした印象があっても、オトリを引き込めばしっとりと川底に馴染んでくれます。僕の場合は竿を寝かせた引き釣りが主体ですが、立て竿の泳がせ釣りでも精度の高い操作はできるはずです。シマノの竿でいえば細身肉厚なバーサトルをより軽快にしたといっても言いくらい、さまざまな釣技に対応する万能感もあるのがVeryBESTなんです。
今回は90に加え85、80という全長バリエーションがあります。この軽やかな操作感をぜひとも味わってほしいですね。持論として水況が高水からの引き水の状況であれば遠くのサラ場を釣ったほうが釣果はアップしますが、平水が何日も続くような状況であれば、立ち位置の近くを丁寧に探ったほうが釣果は伸びます。近いポイントで精度の高い釣りをするなら短い竿のほうが絶対にいいですからね」
小澤が熱望した8.5m その優位性とは?
VeryBESTの8.5mモデルは2016年に発売された2代目ぶりのラインナップである。現代の友釣りシーンにおいて85というレングスは短竿のカテゴリーには収まらない。いわば90とダブルスタンダードといえるほど普及した感があり、熱望する鮎師もどんどん増えている。リーチが長ければ攻略範囲が拡大するのはもちろんだが、それ以上に的確で軽快なオトリ操作を求めるニーズが高まっているのだろう。多くの鮎師にとって攻略範囲と操作感を両立させるちょうど良いレングスが9mから8.5mに変化してきたといっても過言ではないかもしれない。
「8.5mと9mを比較した場合に長さのもの足りなさは感じていません。ただ軽快な操作感を追求していくと竿が50cm短いだけでえらく楽になることは多々あります。当然のことですが近くのポイントをきっちり釣りたいなら、竿は短いほうが丁寧な操作をしやすい。とくに僕がよく行く長良郡上や馬瀬川、白川といった岐阜県の川は石が大きくて流れが複雑で、ピンスポットをきちんと攻略できないと釣果を伸ばせない。9mの竿をテストしていて8.5mが欲しいと思うことはよくあるんです。
大河川を釣るときに動ける人、立ち込める人なら竿は短くていいと思います。むしろ短い竿のほうが風の影響も受けにくくて楽に釣れます。じゃあ立ち込めない人は長い竿のほうが良いのかといえば、一概にそうとは言い切れません。近距離のポイントを丁寧に釣ったほうが、釣果がアップすることが多々あるからです」
2023年開催のジャパンカップ鮎で小澤は全国大会2位という成績で返り咲いた。手にしていたのは「スペシャル競FW85」である。小澤にとってここ一番の勝負竿として85の出番が多くなっていることは間違いない。
ベストバランスに仕上がった7本継ぎの恩恵
前作の85はH2.6とソフト仕様だったのに対し、今作のリチューンではH2.75の硬さで角のないスムーズな曲がりを実現するのが目標になった。そこで採用されたのが7本継ぎである。23年に登場した小澤の監修ロッドである「スペシャル競FW85」も7本継ぎであり、その設計には手応えを得ていたがVeryBESTの制作においては不安を抱いたと話す。
「竿を短くすることの弱点を挙げれば硬くなりやすいことです。感度を上げるためにシャープさを強調するほどタメ性能は弱くなります。この弱点を克服するため7本継ぎを採用したのですが、正直なところVeryBESTらしいゼロ感度がボケてしまうのでは?と心配をしたんです。この竿の核心部は使い手に“オトリの重さを感じるか感じないかのギリギリのテンション”を意識させること。それこそが僕の中でオトリ操作の技術を上げる答えだからです。美しい曲がり、タメ性能を追求しすぎて一番のコンセプトがぼやけてしまっては本末転倒。ゼロ感度をしっかり表現することを念頭に置いて、テストを繰り返してチューニングしていくと、軽さ、感度、パワーといった全体のバランスが非常に納得のいくものになりました。シャキッとしたシャープ感は損なわずに、ここまで粘る竿になるのかと驚いたほどです」
では90と85。ダブルスタンダードと先述したこのレングスで迷う人は多いだろう。小澤は次のように答える。
「強いて言えば90のほうが長い分しなやかでアソビがあります。だから引きやすい竿だと思ってください。85は胴ブレを極度に排除してゼロを感じ取る能力が極めて高い。ピンスポットに細かくオトリを撃ちまくりたいという人にはとくにおすすめです」
引き性能も兼備する90の軽やかな万能感
前作が90のみのラインナップだったことから、調子の比較が最もしやすいのが90である。引きやすさを重視した前作に比べ、ゼロ周辺を感じ取れるシャープ感が増してはいる。一方で滑らかな曲がりの軽量本調子は引き性能も決して損なわれていないと小澤は話す。
「穂先は自分の好みよりも軟らかめにしています。ゼロを感じてからプラスのテンションもかけやすい調子なので、グリグリとオトリを動かし続けたいという人にもおすすめです。引き系操作にのみ特化しているかといえば、そうでもありません。FWは元々ナイロン泳がせにも向く本調子でした。今作がド真ん中の本調子にシフトしたのでオバセを調整しやすい張り感もあるので、泳がせ釣りもやりやすいと思います。乱暴な言い方をすればFWは何でもできる軽快な万能竿です。とくに90は万能感が高いです。鮎のサイズ対応幅も広くて、流れの規模にもよりますが14~23cmまで対応できます」
自重178gの操作感! 80FWの未体験ゾーン
短竿の名作といえば「SPECIAL小太刀」である。その性能は張りの強い先調子が特徴で、そこにシルキーな「引きやすさ」のエッセンスを加え高い評価を得ているのが小澤の監修した本調子の「S」タイプだ。H2.6のしなやかな本調子でかつてない軽さの短竿を作りたい。そんな思いが結実したのがVeryBEST80である。
「スペシャル小太刀Sはもちろん2023年発売のリミプロバーサトルでも80を作り、正直いって差別化に悩みました。でも、軽さが持ち味のFWだからこそ究極に軽い8mの竿ができるはず、とテストをしていると、経験したことのない操作感でオトリをポンポンと撃ち込めました。竿は短くなるほど自然と感度も高まりますが、FWレベルの軽さだとその感度はさらに際立つことを実感しました。さらに感度を高めるならH2.75のほうがいいんですが、短竿はただでさえ硬くなるのでH2.6に設定しました」
その自重は178g。異次元ともいえる軽快な操作を一度体感していただきたい。
高強度素材の採用で進化した、次世代の基本構造。
シマノ独自の設計・製造方法により、曲げ、ネジレ、つぶれなど、あらゆる方向に対して、さらなる高強度化を徹底追求。ロッド性能を根幹から高めるシマノ独自の基本構造スパイラルXに、ナノアロイ®テクノロジーにより実現した高強度樹脂を用いたカーボンテープを使用。選りすぐりの素材でさらなる高強度化を実現しました。一般的な構造との比較で、ネジリ強度1.4倍、つぶれ強度2.5倍を達成(当社比)。さらにスパイラルXとの比較でも、ネジリ強度10%アップ、つぶれ強度15%アップを達成(当社比)しました。
※ ナノアロイ®は東レ(株)の登録商標です。
ブランクスを焼き上げる工程で使用する成型テープのラッピングを極めて細かいピッチで施す方法。ブランクスが、より均一な圧力で締め上げられるため、高強度化に大きく貢献しています。その細やかなピッチは、上質感のある外観デザインを描きます。
細くてネジレが生じやすい磯竿、鮎竿、へら竿などの細物穂先は構造的にスパイラルXが使用できません。そこで開発されたのが「ハイパワーXティップ」。穂先のネジレに対する剛性が大きく向上しました。
エキサイトトップをさらに進化させたエキサイトトップⅡ。鮎ロッドの穂先としては採用できないほどの超高弾性材料で作り上げたシマノオリジナルソリッドを、チューブラー穂先の先端に封入した構造です。
節の継ぎ目はやりとり中にもっとも負担が集中する部分。Gクロスプロテクターは破損のリスクを大幅に軽減するとともに、玉口部分に精悍なルックスを与えます。
直接穂先に結びつけた天上糸を滑らせるとともにトップ自らも回転して糸ガラミを激減。繊細な穂先とほぼ同じ細さで、竿先が鈎先になったような感覚の感度を発揮します。(鮎竿、渓流竿に採用)
グリップ性に優れ、濡れても滑りにくく、理想の操作をサポート。高いグリップ力でありながら必要最小限の塗装膜なので、軽さや感度にも貢献しています。
品番 |
全長(m) |
H表示 |
継数(本) |
仕舞寸法(cm) |
自重(g) |
先径(mm) |
元径(mm) |
適合オモリ(号) |
適合水中糸(ナイロン・号) |
適合水中糸(メタル・号) |
カーボン含有率(%) |
本体価格(円) |
商品コード |
JANコード |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Very BEST 80 | 8.0 | H2.6 | 7 | 136.5 | 178 | 1.6 | 23.2 | 0-3 | 0.1-0.6 | 0.03-0.2 | 99.9 |
355,000円 |
314574 | 4969363314574 | * |
Very BEST 85 | 8.5 | H2.75 | 7 | 142.5 | 195 | 1.6 | 23.4 | 0-4 | 0.15-0.8 | 0.05-0.25 | 99.9 |
370,000円 |
321589 | 4969363321589 | * |
Very BEST 90 | 9.0 | H2.75 | 8 | 136.5 | 210 | 1.6 | 24.7 | 0-4 | 0.15-0.8 | 0.05-0.25 | 99.9 |
380,000円 |
321633 | 4969363321633 | * |
■別売専用ソリッド穂先/先径 0.7mm 25,000 円 ●Very BEST 80(146ML)●Very BEST 85(146MU)●Very BEST 90(146N2)
※元径は後端から100mmの外径を表示しています。