プロセレクト (振出)

【シマノ23AW新製品】【POWER AERO TD × PRO SELECT】磯の石鯛にスピニングタックルで挑む！ 日置淳in対馬

遠投置き竿釣りの理想が現実のものに

2021 年、シマノが遠投置き竿釣りにおけるひとつの回答を導き出した。その主役を担うロッドが、キャスティング性能と実釣性能を高次元で両立させた『プロセレクト』。

遠投置き竿で狙うターゲットは多いが、その多くはマダイやクロダイなど大型の魚。キャスターの前には急潮流や起伏の激しい地形など、難易度の高いフィールドが立ちはだかる。その攻略をサポートしてくれる『プロセレクト』はどのような性能を備えているのだろうか。

大物釣りにも精通する投げ釣りのスペシャリストとして知られ、テストにも関わったインストラクター日置淳氏。この竿を相棒に大物を仕留めている氏の言葉から、その全貌に迫る。

「スピンパワー（振出）」の調子を継承

「この『プロセレクト』は、遠投置き竿釣りの理想を追求した振出タイプの投竿です。ハイエンドモデル『スピンパワー（振出）』の流れを汲み、高弾性のカーボンを使用することで遠投性能やコントロール性能はもちろん、掛けてからのリフト能力にも優れています」

そう語る日置氏は岡山県下津井のテスト釣行でも、激流のなかで複数の良型マダイを掛け、沖の深場から素早く浮かせて取り込んでいる。キャスターから非常に高い調子評価を得ていた新世代先調子『スピンパワー（振出）』を、より振り切りやすく、さらに強力に反発する調子へとアレンジ。より多くのユーザーが使いやすいようになったという。

「テスト釣行も含めてかなり長い期間、この竿を使用してさまざまな大物を釣り上げてきましたが、前述したように投げやすいことに加えて、柔軟な穂先を備えており非常に喰い込みがいいと実感しています。極端に穂先が軟らかいというのではなく、バット部分からきれいな調子を描きながら追従する絶妙な軟らかさを備えていて、実釣において非常に使いやすい竿に仕上がっています」

性能はもちろん、デザインやカラーを含めたシックで高級感あふれるその仕上がりは、日置氏の釣行意欲を刺激し続ける。

「長期間、使用していますが、見た目も気に入っており、持つ喜び、使う楽しさを実感できる竿です。遠投置き竿で狙うマダイやチヌ、カレイ、アイナメ、コロダイなどがターゲットとなりますが、『プロセレクト』を持って大物釣りを楽しみたい、早く釣行したい、そんな気持ちが溢れてきます。使いやすさはもちろんですが、使う人が楽しくなる竿ですよ」

厳選されたラインナップでさまざまなターゲットに対応

「405DX-T から425AX-T まで幅広くラインナップされていますが、私は標準的で中間に位置する425CX-Tを好んで使用しています。CX-T といえば並みの硬さというイメージがあるのですが、『プロセレクト』はパワーが強いのでこれがCX-T か!?　というほどです。ときにはBX-T を使いたい気持ちもありますが、CX-T がその領域までカバーしてくれるので、実釣性能とキャストフィーリングを追求したこのモデルを使っています」DX-T からAX-T の各モデルは、潮流などの釣り場の状況、使用するキャスターの体格や体力などによって選択することも大切だが、どのような釣り場、ターゲットにマッチするのだろうか？

「AX-T が最も硬いのですが、これは磯投げにおすすめです。タマミやコロダイなどのパワーのある大型魚を狙うのに適しています。BX-T はコロダイやマダイ、カレイ、アイナメ狙いでおすすめです。私が愛用しているCX-T はカレイ、アイナメはもちろん、マダイやクロダイ狙いにもよく、オールマイティーに使えるモデルです。軟らかめのDX-T は、カレイやチヌ、置き竿による大ギスを狙うのに適しています」

特筆すべき遠投性能とコントロール性能

「スパイラルＸとハイパワーＸのダブルＸ構造を採用することで、キャスト時に発生するネジレとつぶれを徹底的に抑制しています。この構造によって飛距離はもちろん、キャスト時のコントロール性能も向上し、掛けた魚を素早く浮かせるリフティングパワーも高められているんです。とくに投竿の場合、キャストするときに後ろに曲がります。このときにネジレが発生しやすいのですが、２つのＸ構造によって相当抑えられているのを実感できます。ネジレがなければパワーの伝達がスムーズになり、飛距離とコントロール性能が向上するわけです」

日置氏の言うスパイラルＸとは、ネジレとつぶれを克服し、ロッド性能を根幹から高めるシマノ独自の基本構造。ロッド縦繊維の内層と外層に、カーボンテープをそれぞれ逆方向斜めに密巻きした三層構造で、内外の斜めの繊維により、軽さを維持しながら、高いネジリ剛性とつぶれ剛性を実現している。ハイパワーＸはキャスト時やファイト時に発生するネジレをさらに抑え込む強化構造で、『プロセレクト』ではスパイラルＸの最外層でカーボンテープをＸ状に締め上げていく。これによって竿の曲がりが釣り人の意図する方向性を保持し、ブランクスが持つ本来の性能がフルに発揮されるのだ。

この２つのＸ構造により高弾性カーボンのポテンシャルを最大限に引き出すことで、抜群の遠投力とキャスティングアキュラシーを実現しているのだ。

太糸ナイロンにも対応可能なガイドセッティング

遠投置き竿の理想を追求した『プロセレクト』は、もちろんガイドセッティングにおいても試行錯誤を重ね、釣り方にマッチした答えを見つけ出しているという。

「大きな特徴のひとつとして、元ガイドのRV30の大口径固定ガイドがあります。一般的なKWガイドと比べると、剛性に優れており、ガイドフレームに絡みにくいという特徴があります。フルキャストしてもガイドの歪みが少なく、高さがあるので道糸がブランクスタッチしづらい上、口径が大きいのでラインの放出が実にスムーズです。ナイロン５号以上、ＰＥ３号以上の太糸にも対応しており、太糸を使用したときに圧倒的なメリットを実感できます」

大物釣りではカケアガリのきつい場所、底の起伏が激しい場所をピンポイントで狙い撃つシチュエーションも少なくない。そのような釣り場では太いナイロンラインの使用は外せない選択肢のひとつ。太糸使用時にも強度に優れた元ガイドがトラブルを抑制し、スムーズなキャストを約束してくれる。また、キャスト時のみならず、魚を掛けた後の強い潮流の中でのリーリング時においても剛性の高いガイドがやり取りをアシストしてくれる。

竿洗浄に便利な「ウォッシャブル尻栓」が付属

「釣行後にはみなさんも竿を洗うと思いますが、洗浄の際に尻栓を外すと元竿の中に元上が入り込んでしまい、元ガイドの糸巻きラッピング部分に傷がつくことがあります。それを防ぐために、ウォッシャブル尻栓という穴の開いた竿洗浄時専用の尻栓が付属されています。これを装着することで元ガイドが元竿の中に入り込むことがなくなり、竿を傷つけずに洗うことができるのです。この尻栓は、穴から水が抜ける仕組みになっていて通気性もいいので、竿の乾燥が早くなるメリットもあります。非常に便利なアイテムですので、竿のメンテナンス時にはぜひ活用していただきたいですね」

『プロセレクト』で新たに採用されたウォッシャブル尻栓も、日置氏が気に入っているポイントのひとつ。これまではブランクスストッパーを付けることでガイドラッピングを保護していたが、竿全体の軽量化と曲がりをより生かすために今回は採用されていない。これも遠投置き竿の理想を追求したひとつの答えのひとつであり、竿袋やトップカバーを含めてユーザー目線での細部へのこだわりもうれしい。

シマノの先端技術を身にまとい、圧倒的な飛距離とパワー、そして実釣能力を手に入れた『プロセレクト』。遠投置き竿釣りの可能性はさらに広がり、これまで叶わなかったキャスターの夢が現実のものとなる。